建設業は「材料費・外注費の先払い」「工事代金の後払い」という業界特有の構造から、資金繰りの管理が極めて困難です。
そして、一部その影響もあるせいか、2022年以降建設業の倒産件数は増加傾向にあり、その多くは「黒字倒産」です。
この記事では、建設業に特化した資金繰り表の作り方を、実務レベルで解説します。
まずは簡単な「日繰り表」から始め、段階的に精度を高めていきましょう。
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建設業の資金繰りが難しい3つの理由

建設業の資金繰りが難しい理由は、大きく3つあります。
- 支払先行・入金後の「逆ザヤ構造」
- 手形決済による資金化の遅れ
- 黒字でも倒産する「資金繰り倒産」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①支払先行・入金後の「逆ザヤ構造」
建設業は、支払いが先行して、入金があとになるという「逆ザヤ構造」です。
例えば、材料費・外注費は工事開始時に支払いますが、工事代金の入金は完工後(1〜3ヶ月後)です。
もし1,000万円の工事でも、先に800万円は立て替えなければなりません。
この時間差が運転資金を圧迫します。
②手形決済による資金化の遅れ
約束手形の支払期日は、90〜120日が一般的です。
そのため、手形で受け取った場合、現金化まで3〜4ヶ月待つ必要があります。
建設業は、この約束手形を使った取引が多いという特徴があります。
そして、この手形決済による資金化の遅れが資金繰りを困難にしています。
なお、2026年度末までに紙の手形は廃止される予定です。
③黒字でも倒産する「資金繰り倒産」
損益計算書は黒字なのに現金が枯渇して倒産する「黒字倒産」が頻発しています。
特に、3月・9月・12月の繁忙期に倒産が集中します。
これは、工事が増えて先払いする費用が多くなるのに、入金までに時間差があるからです。
最終的に現預金残高がゼロになれば、黒字であるにもかかわらず倒産してしまいます。
資金繰り表とは?まず日繰り表から始める
資金繰り表は、「入金」「支払」「現預金残高」を管理する経営管理ツールです。
「支払日に銀行口座にお金がない(資金ショート)」という事態を防ぐために、資金繰り表を作成することをおすすめします。
日繰り表(日次資金繰り表)から始めるべき理由
表の作成に慣れていない場合、いきなり「月次」の資金繰り表の作成は難しいので、まずは日繰り表から始めることをおすすめします。
月次ではなく日繰り表から始めたほうがいい理由は以下のとおりです。
- 家計簿と同じ感覚で作れる(簿記知識不要)
- 「今月末の現預金残高」が予測できる
- 月次資金繰り表の基礎になる
そして、日繰り表で管理する数字は3つだけです。
- 入金額(日別)
- 支払額(日別)
- 現預金残高(日別の累計)
この日繰り表は、現預金残高が一番少なくなる「谷」のタイミングでゼロを下回らないようにすることが最優先事項です。
日繰り表の作り方【3ステップ】
ここからは、日繰り表の具体的な作り方を3ステップで紹介します。
- 前月実績の確認
- 当月の支払い・入金予測
- 現預金残高の推移確認
ステップ①:前月実績の確認
最初に、会計ソフトの総勘定元帳(現預金勘定)または銀行通帳から、前月の入出金を確認します。
確認時に押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 現預金残高が最も少なくなる「谷」の日(給与日、月末など)
- 大きな支払日と金額(給与、協力会社、銀行返済)
- 大きな入金日と銀行口座(元請からの入金、手形決済)
月の前半は入出金が少なく、後半で支払いが大きくなり、月末の入金でなんとか帳尻があうという建設会社は珍しくありません。
ステップ②:当月の支払い・入金予測
次に、支払予測と入金予測を行ってください。
支払予測は、毎月変動しない固定費(給与、社会保険料、家賃、返済)と、毎月変動する変動費(材料費、外注費)に分けて予測します。
変動費については、営業・工事担当に確認して請求書を早めに集めましょう。
一方入金予測は、会計ソフトの売掛金残高と取引先の入金サイト(30日、60日、90日)から算出します。
建設業では、元請の未払いトラブルや完工検査の遅れがあるため、「最悪この入金が遅れても問題がないか」をシミュレーションしてください。
ステップ③:現預金残高の推移確認
最後に、日ごとの現預金残高を計算して「谷」がゼロを下回っていないか確認しましょう。
折れ線グラフで視覚化すると、危険な日が一目でわかるのでおすすめです。
もし谷がゼロを下回る場合は、以下の対応を検討してみてください。
- 銀行に短期融資を相談
- 元請に前払い・出来高払いを交渉
- 支払先に支払延期を相談
- 不要な車両・重機の売却
月次資金繰り表の作り方|3〜6ヶ月先を予測
日繰り表に慣れたら、月次資金繰り表で3〜6ヶ月先の資金を予測しましょう。
6ヶ月先までの予測ができるようになれば、中長期的な資金計画を立てることも可能です。
ここでは、月次資金繰り表の区分や作成のコツを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
月次資金繰り表の3区分
月次資金繰り表には、3つの区分があります。
- 経常収支: 営業活動(売上入金、材料費、人件費等)
- 投資収支: 設備投資(重機購入、固定資産売却等)
- 財務収支: 借入・返済(銀行借入、返済等)
この3つを入力することで月次資金繰り表を作成していきます。
細かい数字は日繰り表を参考にするとよいでしょう。
作成のコツ
月次資金繰り表を作成するときのコツは、以下のとおりです。
- 固定費(給与、返済等)は前年実績を参考に予測
- 変動費は工事の進捗から予測(受注見込案件は含めない)
- 入金は受注済み案件の完工予定から算出
- 「資金の谷」がいつ発生するかを特定
3月・9月・12月は売上が増える月であり、支払いが増えて資金の谷が深くなります。
前年の現預金勘定を分析して、パターンを把握しておくことをおすすめします。
エクセルで資金繰り表を作成する方法
資金繰り表を作るときにエクセルの利用を勧められることがありますが、なぜかご存じでしょうか?
実は、エクセルにはメリットがあるからです。
エクセルのメリットや基本構造をここで確認しておきましょう。
エクセルのメリット
会計ソフトにも、資金繰り表の機能が搭載されていることがあります。
しかし、エクセルのほうが会計ソフトよりも自社の実態に合わせたカスタマイズが容易です。
そのため、建設業の工事別管理にも対応しやすいという特徴があります。
基本構造
エクセルで資金繰り表を作成する場合の基本構造は以下のとおりです。
- 日付(または月)
- 前月繰越
- 入金合計
- 支払合計
- 当月末残高
作成時の工夫
エクセルで資金繰り表を作成するときは、以下の工夫をすることをおすすめします。
- 折れ線グラフで現預金残高を可視化
- 条件付き書式で残高ゼロ未満を赤く表示
- 銀行口座別にシートを分ける
なお、無料テンプレートは日本政策金融公庫やクラフトバンク総研で配布されています。
建設業特有の管理ポイント
資金繰り表の作り方がわかったところで、建設業特有の管理のポイントも確認しておきましょう。
今後トラブルを防ぐためにも、しっかりと目を通してみてください。
工事別の資金管理
案件ごとの原価・入金を把握して、赤字案件を早期に発見します。
原価管理などができていないと、資金繰りはさらに悪化します。
「忙しいのに儲からない」という状態を防ぎましょう。
2026年手形廃止への対応
政府は、2026年度末までに紙の手形廃止を目標としています。
そのため、以下のことを把握して準備を進めておかなければなりません。
- 支払サイトが90〜120日→60日以内に短縮
- でんさい(電子債権)への移行準備
- 運転資金の確保が必要
でんさいへ移行する際は取引先から承諾を得る必要があるほか、取引金融機関に利用申込書を提出する必要があります。
建設業法「50日ルール」
建設業法では、特定建設業者は下請への支払を50日以内にしなければならないと定められています。
違反した場合、行政処分のリスクがあります。
2024年問題(時間外労働上限規制)
2024年4月から建設業にも適用されています。
これにより、残業が削減されて人件費増加、有資格者の転職などさまざまなリスクが発生します。
そのため、リスクに備えた資金計画が必要です。
資金繰り管理をデジタル化|PayStructの活用
資金繰り表の作り方を解説してきましたが、エクセルでの手作業には限界があります。
そこで、建設業特化型システム「PayStruct(ペイストラクト)」の活用も検討してみてください。
PayStructなら、資金繰り管理を効率化できます。
PayStructの主な機能
- 支払い状況のリアルタイム可視化
- 資金繰り表の自動生成
- 承認ワークフローの自動化
- 電子帳簿保存法・インボイス制度対応
- 支払期日超過前の自動通知
PayStructは取引先・現場ごとの支払い予定を一覧化して、さらに資金繰り表を自動で作ります。
もちろん、それだけではなく新規顧客とのマッチングや先払い機能による資金調達などさまざまな機能が搭載されており、建設業界の資金繰りの課題を解消します。
また、顧客管理や施工管理、新制度・法改正への対応なども行えるので生産性も向上させられるのが魅力です。
PayStructを導入して、今直面している課題を解決しましょう。
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まとめ

現預金残高がゼロになれば黒字でも倒産するため、建設業の資金繰りはまさに命懸けともいえます。
そして、その資金繰りにおいて重要な役割を担う資金繰り表は、差し詰め「会社の余命表」といえるでしょう。
今日から始める3ステップ
- 前月の銀行通帳を確認
- 日繰り表のテプレートをダウンロード
- 今月の支払い・入金予定を記入し、「谷」を確認
まずは日繰り表から始めて、段階的に月次資金繰り表へ移行してください。
管理をより効率的に行いたい場合は、PayStructのようなデジタルツールの活用もご検討ください。
資金繰り管理は経営の基本です。
この記事を参考に、今日から実践しましょう。
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