「建築会社でDXを進めたいのに、何から着手すべきか迷う」
そんな悩みは、建設会社の現場と事務が分断されやすいほど増えます。
結論として、業務を絞って小さく導入し、効果検証しながら広げるのが近道です。
この記事では、建設会社のDX導入を失敗させない手順を、導入ガイドとしてまとめます。
読み終える頃には、優先順位・必要な機能・導入計画が整理されます。
社内提案のたたき台としても、そのまま使える構成にしています。
建設会社DX導入ガイド:最初に押さえる前提

建設会社のDXは、単なるIT導入ではなく業務設計の更新です。
そのため、ツール選びより先に「目的の言語化」が重要になります。
- DXで減らしたいムダ(転記、探す、確認待ち)を特定する
- 現場と事務の受け渡し点(写真、日報、請求)を見える化する
- 法令対応が絡む領域(電子取引保存など)を洗い出す
特に国税庁が述べているように電子取引データは、一定の要件で電子保存が求められます。
請求書や領収書の運用は、早めにルール化すると後戻りが減ります。
建設会社のDX化導入のための7つのステップ

建設会社のDX導入に際し、IPA情報処理推進機構によれば社内の自己診断やロードマップがセットで用意される必要があるとされます。
具体的には以下の内容が必要となります。
- 現状把握→課題定義→優先順位→PoC→展開、の流れが明確
- 現場巻き込み(入力負担の最小化)を先に設計している
- 効果指標(時間・ミス・回収期間)を定量で置いている
さらに、国のDX議論では経済産業省の「2025年の崖」が有名です。
レガシー放置の損失リスクが語られ、意思決定の材料になります。
では、以下、実際に、建設会社がDX化する際に7つのステップについて解説します。
ステップ1:現状分析を1枚にまとめる
最初の作業は、業務棚卸しを「A4一枚」に収めることです。
分厚い資料より、全員が見て会話できる形が進行を助けます。
- 業務:見積→受注→施工→請求→入金→支払→原価→月次
- 媒体:紙、Excel、メール、LINE、FAX、各クラウド
- 痛点:二重入力、探す時間、承認待ち、差し戻し、締め遅れ
ここで「現場が入力しない」を前提にしないのがポイントです。
入力を減らす設計を先に置くと、協力が得やすくなります。
ステップ2:優先順位は「効果×横展開」で決める
優先順位は、個人の好みではなく計算で決めます。
おすすめは「効果の大きさ」と「横展開のしやすさ」の掛け算です。
- 効果:削減できる時間、ミス、残業、外注費、回収期間
- 横展開:他現場・他拠点・協力会社にも適用できるか
- 難易度:入力量、連携、権限設計、教育コスト
建設会社は案件単位で例外が出るため、例外処理の多さも見ます。
例外が多い領域は、いきなり全社統一を狙うと詰まりやすいです。
ステップ3:まず入れるシステム領域を決める
「全部入り」を最初から狙うと、説明も運用も破綻しがちです。
まずは、ムダが集中する領域を1つに絞って導入します。
| 領域 |
主な目的 |
期待できる効率化 |
つまずきやすい点 |
| 書類・図面管理 |
探す時間を減らす |
検索・共有の高速化 |
命名ルール未整備 |
| 請求・支払(電子化) |
転記と締め遅れを減らす |
入力削減、証憑整理 |
電子保存要件の理解不足 |
| 工事台帳・原価管理 |
工事別の粗利を見える化 |
不採算の早期発見 |
科目・工事コードが不統一 |
| 現場管理(写真・日報) |
事務所への持ち帰りを減らす |
写真整理、報告の即時化 |
入力負担が重い設計 |
バックオフィス起点なら「請求・支払→原価→月次」の順が堅実です。
現場起点なら「写真・日報→工程→出来高」の順が進めやすいです。
ステップ4:要件定義は「3つの質問」で足りる
要件定義は、細部から入るほど迷子になります。
まずは、次の3問に答えるだけで骨格が決まります。
- 誰が:現場、事務、協力会社、経営のどこが使うか
- 何を:入力、承認、検索、集計のどれを減らすか
- いつ:日次、週次、月次のどこで確実に使うか
この3点が決まれば、必要な権限と画面の数も自然に絞れます。
「例外はExcelで逃がす」など、逃げ道も先に置くと安定します。
ステップ5:PoCは「1現場+1協力会社」で試す
PoCは、成功させるための試験運用です。
対象を広げず、最小単位で再現性を確認します。
- 対象:代表的な1現場、協力的な1社、事務1名
- 期間:2〜4週間で、月次の一部まで回す
- 判定:時間削減、ミス、差し戻し回数、入力率
うまくいかない場合は、ツールより「入力設計」に原因が出ます。
入力項目を半分にするだけで、現場定着が進むケースもあります。
ステップ6:本番導入は「並行運用→切替」の2段階
いきなり切り替えると、締め日や検査で事故が起きやすいです。
並行運用で差分を潰してから、本番に切り替える形が安全です。
- 並行運用:新旧で同じ結果になるかを確認する
- 切替条件:ミス0、締め遅れ0、担当が迷わない状態
- 教育:動画1本+手順書1枚にまとめ、検索性を上げる
この段階で、承認フローの例外(不在、緊急)も整備します。
例外が放置されると、結局紙に戻ってしまいがちです。
ステップ7:効果測定は「KPI3つ」で回す
DXは入れて終わりではなく、改善の仕組みが成果を決めます。
KPIは多すぎると形骸化するため、3つに絞ります。
- 処理時間:請求1件、写真整理1現場、月次締めの所要日数
- 品質:差し戻し回数、二重入力件数、送付ミス件数
- 定着:入力率、ログイン率、現場からの問い合わせ件数
改善会議は月1回で十分なので、数値と課題だけを短く確認します。
小さな改善を積むほど、全社展開の説得材料が増えていきます。
最後に
「自社の優先順位までは決まったが、設計と運用で迷う」
その段階なら、導入相談で詰まり所を先に潰すのが近道です。
PayStructでは、建設業のバックオフィスに多い論点を踏まえ、請求・支払・工事別管理などの運用設計を含めて一元化で整理できます。
要件が曖昧なまま比較検討を続けると、時間だけが溶けやすいです。
まずはお問い合わせいただき「できること/できないこと」を線引きしてください。