「税務調査が入ることになったけれど、追徴課税はいくら払えばいいのか?」
「うっかり申告が漏れていた場合、どのくらいのペナルティがあるのか?」
税金の申告漏れやミスは、大きなトラブルになりかねません。
さらに、追徴課税は、単に「不足分を払う」だけではなく、ペナルティが上乗せされる仕組みになっています。
この記事では、追徴課税の種類や計算方法、税務調査の対象になりやすいケースを解説します。
余計な税金を支払うリスクを最小限に抑えましょう。
追徴課税とは

追徴課税(ついちょうかぜい)とは、本来納めるべき税額よりも少なく申告していた場合や、期限までに申告を行わなかった場合などに、不足していた税金に加えてペナルティとして課される税金の総称です。
「正しく申告・納税していれば払わなくて済んだお金」であり、本来の税金(本税)に加えて、利息にあたる「延滞税」やペナルティにあたる「加算税」が上乗せされます。
建設業のように多額の資金が動く業界では、意図しない計算ミスであっても追徴額が数百万円単位に膨れ上がることもあるため、細心の注意が必要です。
追徴課税が発生する理由
追徴課税を招く最大の要因は、単なる「税金の逃れ」ではなく、日々の多忙さから生じる「事務処理の遅れ」や「制度への理解不足」にあります。
建設現場では追加工事や材料費の変動が激しく、正確な利益把握が困難になりがちですが、これを見積書や請求書と正しく紐付けられないまま申告を行うと、計上時期のズレ(期ずれ)や売上漏れとして指摘を受けることになります。
また、インボイス制度や電子帳簿保存法といった複雑な法改正が相次ぐ中、従来の「どんぶり勘定」のまま申告を続けてしまうことも危険です。
税務署は「誰が・どこに・いくら支払ったか」というデータを握っているため、悪意のない計算ミスであっても、実態と申告額に乖離があれば追及されます。
追徴課税の種類
追徴課税は、いくつかの種類に分かれます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
- 利子税
それぞれの詳細を見ていきましょう。

過少申告加算税
過少申告加算税は、期限内に確定申告を済ませたものの、後の税務調査などで「本来納めるべき税額よりも少なかった」と指摘された際に課されるペナルティです。
この税金は、意図的な隠蔽がなくても、適正な会計処理ができていなければ一律に課されます。
新たに納める税額の10%が上乗せされるため、動く金額が大きい工事案件では、わずかな計算ミスが数十万円の追加出費に直結します。
また、新たに納める税額が、当初の申告納税額または50万円のうち、いずれか多い金額を超えている場合は、その超えている部分については10%ではなく15%が適用されます。
例えば、当初の申告納税額が100万円で、新たに納める税額が200万円だった場合は、100万円を超えている部分に対し、15%の過少申告加算税が課されます。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告の期限までに申告書を提出しなかった場合に課されます。
建設現場の繁忙期と重なり、「あとでまとめてやればいい」と放置してしまった結果、期限に間に合わなかったというケースは珍しくありません。
無申告加算税は、状況によって税率が異なります。
例えば、税務調査を受ける前の期限後申告なら税率は5%です。
しかし、税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合は、納付すべき税金に加え、以下の税額に応じて無申告加算税が付されることとなります。
- 納付すべき税額の50万円まで:10%
- 50万円超~300万円以下の部分:15%
- 300万円を超える部分:25%
なお、上記の税率は令和6年1月1日以後に法定期限が到来するものに付される税率となり、それまでの期間の税率は、その税額に対して10%、納付すべき税額が50万円を超える場合は15パーセントでしたが、令和6年1月1日以後は無申告加算税の罰則が強化されています。
参照:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
不納付加算税
納付すべき源泉所得税を納めなかった場合に発生するのが不納付加算税です。
本税に5%あるいは10%を乗じた金額を支払わなければなりません。
また、正当な理由がある場合や、納付期限から1か月以内に納付され、かつ過去1年間に期限後納付がないなどの特定条件を満たせば免除されるケースもありますが、基本的には「期限厳守」が鉄則です。
重加算税
事実を隠蔽(いんぺい)したり、仮装したりして意図的に税金を逃れようとした場合に課されます。
例えば、売上を意図的に除外したり、架空の外注費を計上して経費を水増ししたりする行為がこれに該当します。
税率は非常に高く、重加算税に該当すると過少申告の場合はそれに代えて35%、無申告の場合はそれに代えて40%が本来の税金に上乗せされます。
金銭的な負担もさることながら、重加算税を課されたという事実は「悪質な納税者」として、その後の税務調査の頻度が高まる可能性があるなど、経営上の信用を著しく失うことになります。
延滞税
延滞税は、税金の納付が期限より遅れたことに対する「利息」のような性質を持つ税金です。
納付期限の翌日から完納するまでの日数に応じて計算されます。
特筆すべきは、利率の仕組みです。
納付期限から2か月を経過すると利率が大きく上がる仕組みになっており、放置すればするほど雪だるま式に膨れ上がります。
銀行融資の利息よりも高い利率になるケースもあるので、その場合は資金繰りが厳しくても、他の支払いより優先して納税を済ませることが賢明な判断となります。
延滞税は期間に応じて税率の変動がありますが、令和8年1月-令和8年12月の期間の延滞税については、期限から2か月以内の場合と、2か月経過後の延滞税の利率は以下の通りとなります。
- 期限から2か月以内 :年利2.8%
- 期限から2か月経過後:年利9.1%
利子税
利子税は、延滞税と混同されやすいですが、性質が異なります。
所得税や相続税などの納税を、延滞ではなく「延納(期限を延ばしてもらう)」が認められた場合に、その期間に対して課される利息です。
延滞税が「ルール違反への手数料」であるのに対し、利子税は「正当な手続きを経て待ってもらうための手数料」に近いものです。
そのため、利率は延滞税よりも低く設定されていますが、計画的な納税計画を立てていないと、最終的な支払い総額を押し上げる要因となります。
【シミュレーション】追徴課税はいくらになる?
追徴課税がいくらになるのか、金額ごとにまとめました。
| 申告漏れ額 |
加算税10%の場合 |
延滞税1年分を2.4%とした場合 |
合計額 |
| 50万円 |
5万円 |
1万2,000円 |
56万2,000円 |
| 100万円 |
10万円 |
2万4,000円 |
112万4,000円 |
| 300万円 |
30万円 |
7万2,000円 |
337万2,000円 |
| 500万円 |
50万円 |
12万円 |
562万円 |
| 1,000万円 |
100万円 |
24万円 |
1,124万円 |
今回は、加算税を10%としましたが、重加算税35〜40%などが該当すれば、さらに税額は増加します。
この数字はあくまでも目安ですので参考程度に留め、追徴課税が発生しないような工夫をしていきましょう。
追徴課税の対象期間
原則として、税務調査の対象期間は基本的には「過去3年分」です。
ただし、多額の申告漏れやミスが見つかった場合には「過去5年分」または「過去7年分」まで遡って調べられる可能性があります。
過去5年〜7年分の追徴額を合計すると、一気に数百万円規模の支払い義務が生じるリスクがあります。
税務調査の対象になりやすいケース
税務署は膨大なデータの中から、独自の基準で「調査すべき対象」を絞り込んでいます。
特に、以下のようなケースは、調査のターゲットになりやすい傾向があります。

売上や所得が急に変動している
前年に比べて売上が急増した、あるいは逆に売上は変わらないのに所得(利益)が急激に減ったといったケースは、税務署のシステムで即座にアラートがかかります。
「架空の経費を積んで利益を圧縮しているのではないか」といった疑念を持たれやすいため、変動があった年はその理由を客観的に証明できる書類(契約書や工事台帳)を揃えておく必要があります。
同業他社と比較して利益率が低い
税務署は、業種ごとの「平均的な利益率」を把握しています。
例えば、同規模の工務店や一人親方と比較して、あなたの会社の利益率が著しく低い場合、「外注費を水増ししていないか」「売上の一部を抜いていないか」と疑われるきっかけになります。
正当な理由(材料費の高騰、赤字覚悟の受注など)があったとしても、それを裏付ける証拠がなければ、厳しい追及を受けることになるかもしれません。
現金での取引が多い
建設業界にはいまだに「現金払い」の慣習が残っている場面がありますが、これは税務署が目を光らせるポイントの一つです。
銀行振込と異なり、現金のやり取りは足がつきにくいと考えられがちですが、相手方の反面調査(取引先への調査)によって芋づる式に発覚することが多々あります。
領収書がない支出や、現場での手渡しなどは、調査官から見れば「脱税の温床」に見えてしまうため、極力避けるべきでしょう。
税理士が関わっていない
税理士の署名がない申告書(本人申告)は、プロのチェックを経ていないため、計算ミスや制度の誤解が多いと判断され、調査の優先順位が上がることがあります。
特に、一人親方の場合、日々の記帳が疎かになるケースがあることを税務署は把握しています。
専門家のアドバイスを受けずに「自分流」で申告を続けていると、意図せずとも法律違反を犯してしまうリスクが高まります。
追徴課税に関するよくある質問
税務調査の結果、追徴課税が確定した際の具体的な支払い方法やリスクについて、多く寄せられる疑問にお答えします。
追徴課税は一括納付ですか?
原則として、追徴課税は「一括納付」する必要があります。
本税だけでなく、加算税や延滞税も含めた全額を、通知された期限までに支払わなければなりません。
しかし、建設業のように一度に多額の資金を動かす仕事では、急な数百万円の支払いが資金繰りを圧迫することもあります。
どうしても一括納付が困難な場合は、税務署に相談することで「納付の猶予」や「分割納付」が認められるケースもありますが、その間も延滞税が発生し続ける点には注意が必要です。
追徴課税の支払いを遅延するとどうなりますか?
督促状が届いても無視を続けると、最終的には銀行口座の凍結や売掛金の差し押さえ、さらには重機や車両などの資産が差し押さえられる「強制執行」に至るリスクがあります。
建設業において売掛金の差し押さえは、取引先への信用失墜に直結し、廃業に追い込まれる可能性も否定できません。
支払いが厳しい場合でも、放置せず、必ず税務署へ連絡を入れることが重要です。
まとめ:追徴課税の放置はNG

追徴課税は、知らなかった、あるいは悪気がなかったという理由では免除されません。
特に建設業界は、取引金額の大きさや現金の出入り、外注費の複雑さなどから、税務署のチェックが厳しい業界です。
追徴課税のリスクを回避する方法は、日々の取引を「正確に、リアルタイムに」記録することです。
申告漏れや計算ミスを未然に防ぎ、透明性の高い経営を行うことが、結果としてあなたの大切な利益を守ることにつながります。
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