建設工事の見積もりを出すときの積算において、重要指標の一つとなるのが「歩掛(ぶがかり)」です。
しかし、「ざっくりとしか理解していない」「メリットがよくわからない」と悩んでいませんか?
歩掛を正しく理解できれば、現場の赤字回避や円滑なスケジュール管理につながります。
そこでこの記事では、歩掛の基礎知識・計算方法・標準歩掛などを詳しく解説します。
さらに、注意点も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
歩掛(ぶがかり)とは|重要とされる背景

歩掛は、一つの作業に必要な手間を数値で表したものです。
積算作業において、材料費は比較的簡単に求められます。
しかし、工賃を含む労務費の計算はそれほど単純ではありません。
作業の難易度・職人の経験などにより作業量が異なることにより、単に作業時間を基準に計算できないからです。
このような場面で役立つのが歩掛です。
活用すれば、作業の難易度・施工方法・施工現場の状況といったさまざまな条件を考慮し、適切な作業量を設定できます。
その結果、適切な費用を算出でき、見積もりの明確な根拠となります。
歩掛の計算方法|単位は人工(にんく)
歩掛から計算できる作業量の単位は人工で、1人工は1人の作業員が1日(8時間)かけて行える作業量を表しています。
人工の計算式は、以下のとおりです。
1人の作業員で4時間かかる作業の場合、「(1人×4時間)÷8時間=0.5人工」です。
もし計算結果が1人工を超える場合は、作業が複数日にわたる、もしくは複数人での作業が必要となります。
国土交通省が設定する標準歩掛とは?
国土交通省は「公共建築工事標準単価積算基準」の中で、材料の種類・サイズごとに設定された基準値である標準歩掛を明記しています。
それぞれの材料の歩掛・係数などが記載されているため、歩掛の設定に活用する会社も多くあります。
また、標準歩掛は以下の3つの基準により定められています。

標準的な技能を持つ健康な作業員を想定しているため、実際は自社の実情に合わせて歩掛を調整してください。
改訂を見逃さないように、定期的にチェックしておくとよいでしょう。
歩掛を活用する魅力
歩掛を活用する魅力は、以下の5つです。
- 工事の赤字を防げる
- 労務費の把握に役立つ
- 顧客との信頼関係構築につながる
- スケジュール管理が円滑になる
- 経営の強化につながる
それぞれの詳細を確認しましょう。
工事の赤字を防げる
根拠がないままなんとなく見積もりを作成すると、工事後に赤字が発生してしまうリスクがあります。
1つの項目だけで判断すれば、小さな誤差にしか見えないかもしれません。
しかし、その小さな誤差が積み重なると、大きな誤差となるのです。
歩掛を活用して正確な見積もりが作成できれば小さな誤差を防げるため、工事が赤字になるのを防止できます。
労務費の把握に役立つ
施工内容・材料といったさまざまな条件で、労務費は変化します。
よって、正確に計算するのは簡単ではありません。
しかし、歩掛を活用すれば適切な労務費を把握しやすくなります。
その結果、工事が赤字になるのを防げるだけでなく、自社の状況を把握できるため利益の向上も期待できるでしょう。
顧客との信頼関係構築につながる
「以前と同じような工事内容なのに、なぜ費用が異なるのか」と取引先から質問された場合を想像してみてください。
このとき、どんぶり勘定では根拠がないため、なぜ費用が異なるのか的確に説明できません。
これは、取引先に対する信頼を失う原因になりかねません。
その点、歩掛を活用していれば、取引先に対してなぜ費用が異なるのか、具体的な根拠を示しながら説明できます。
その結果、取引先からの信頼は高まるでしょう。
スケジュール管理が円滑になる
実は、根拠のないまま見積もりを行っていると、スケジュール管理が曖昧になりやすい傾向があります。
歩掛を活用すれば、正しい工数の計算が可能です。
そして、正しい工数が分かれば、大規模な工事のスケジュール管理も円滑になるでしょう。
また、どの箇所に、どのくらい工数がかかるのかがはっきりし、悪天候などで日程に変更があっても柔軟な対応が可能です。
経営の強化につながる
「どんぶり勘定のほうが簡単だし…」と思う方もいるかもしれませんが、曖昧な見積もりは無駄を生み出し、経営を悪化させかねません。
その点、歩掛を活用すれば見積もりの精度が向上し、現場のどこに無駄があるのか可視化されます。
その無駄・課題を改善できれば、経営は強化できるでしょう。
歩掛の活用は、間接的に経営の強化にも役立つのです。
歩掛を活用して労務費を算出する方法
以下、3つのステップに分かれています。
- 歩掛の把握
- 労務単価の確認
- 労務費の計算
最初に、歩掛を適切に把握します。
具体的には、標準歩掛を目安にし、自社の状況に応じて調整してください。
次に、「公共事業における建設労働者の賃金単価(労務単価)」を確認します。
毎年更新されるので、最新の情報を確認しましょう。
参照元:国土交通省「令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について」
最後に、労務費を算出します。
計算式は、以下のとおりです。
- 労務費=所要人数(設計作業量×該当作業の歩掛)×労務単価(基本日額+割増賃金)
【歩掛】公共工事・民間工事での使い分け
公共工事の場合は、国土交通省・各自治体が定める積算基準に基づいた歩掛を使います。
この基準は定期的に見直しが行われるため、最新のデータを確認してください。
一方、民間工事の場合は、通常自社の実績・業界の標準をベースに独自の歩掛を設定します。
また、公共工事の場合は透明性および公平性が重視されているため、歩掛が少し保守的な数値になりやすいという特徴があります。
歩掛を活用するときの注意点
注意点は、以下の3つです。
- 歩掛は自社に合わせて調整が必要
- 自社独自の歩掛の構築には時間がかかる
- 作業員のレベルで歩掛は変わる
それぞれの詳細を見ていきましょう。
歩掛は自社に合わせて調整が必要
歩掛は、作業員の年齢・資格・経験年数によって変化します。
そのため、調整しなければ適切な歩掛設定ができません。
標準歩掛は、標準的な数値を定めたものと認識しておくことをおすすめします。
調整する際は、以下のような取り組みを行ってみてください。
- 日報に材料・サイズなどを細かく記載する
- 各現場の日報の内容を集計する
- 自社独自の歩掛をデータ化する
自社独自の歩掛の構築には時間がかかる
自社独自の歩掛を構築するためには、情報の収集と分析が欠かせません。
特に、精度の高い自社独自の歩掛を構築したいなら、日報に記録を残し、集めた情報をデータベース化し、継続的に分析する必要があります。
そのため、時間がかかります。
作業員のレベルで歩掛は変わる
経験豊富な作業員が中心なら工期の短縮が期待できますが、新人が多い現場では工程に余裕を持つ必要があるでしょう。
そこで、精度の高さを求めるなら、作業員のレベルで歩掛は変える必要があります。
経験豊富な作業員は0.3人工、新人は0.38人工といった具合です。
ただし、一度決めた歩掛を固定するのではなく、定期的な見直しをおすすめします。
最新の情報に更新することで、見積もりの精度の高さを保てるでしょう。
PayStructなら正確かつ簡単に見積書を作成できる
建設業の現場で「歩掛」を考慮した精度の高い見積書を作成するには、膨大な手間と時間がかかります。
そこでおすすめなのが、建設業に特化したシステム「PayStruct」です。
PayStructを導入すれば、あらかじめ登録した単価や過去のデータを活用し、誰でも正確かつスピーディーに見積書を作成できます。
さらに、発注企業と受注企業間の帳票データはそのまま連携できるという利点があります。
加えて、受注企業は無料で利用をスタート可能で、大きな負担なく導入できるのもPayStructの魅力です。

また、見積もりから発注、請求、さらには電子帳簿保存法に対応した書類保存までワンストップで完結するため、情報の転記ミスや抜け漏れも防げます。
業務を効率化したい方はもちろんですが、法改正への対応まで手が回らないといった方にもPayStructはおすすめです。
法改正への未対応は罰則のリスクなどが伴います。
これを機に、PayStructの詳細をぜひチェックしてみてください。
歩掛の計算方法に関するよくある質問
歩掛の計算方法に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 1人工30,000円とはどういう意味ですか?
- 歩掛は現場ごとに変わりますか?
一つずつ回答を見ていきましょう。
1人工30,000円とはどういう意味ですか?
1人工30,000円は、1人の作業員が1日(8時間)働いたときに30,000円の人件費が生じることを意味しています。
このとき、2人が3日間作業すれば、6人工となって180,000円が人工代となります。
歩掛は現場ごとに変わりますか?
変わるケースもあります。
歩掛は、施工条件・作業員の経験、天候、材料の種類などさまざまな要因で変化します。
すべて一律だと考えていると、精度の高い見積もりは作成できないでしょう。
まとめ:歩掛を活用して工事費用の見積もりを適切に行う

歩掛は、建設工事における労務費を導き出すための重要な指標の一つです。
標準歩掛をベースにしつつ、現場の条件や作業員の熟練度に合わせて微調整を行うことで、どんぶり勘定から脱却した「根拠のある見積もり」が作成可能になります。
正確な歩掛の把握は、赤字の防止だけでなく、顧客からの信頼獲得や円滑なスケジュール管理にも役立ちます。
自社独自の歩掛データを蓄積し、経営基盤をより強固なものにしていきましょう。
もし、歩掛を考慮した複雑な積算や事務作業に負担を感じているなら、建設業特化型システム「PayStruct」の活用がおすすめです。
見積もりから請求、法改正への対応など、さまざまな業務を一元管理できます。
これを機に、PayStructの詳細をぜひ確認してみてください。