資金繰りが不安で、融資を検討しているものの、建設業は審査が厳しく通らないのではと悩む方は多いでしょう。
実は、金融機関が見るポイントを理解し、 制度を正しく選べば、融資の可能性は十分にあります。
本記事では、建設業の融資が厳しい理由から、 利用できる資金調達方法、資金繰りを安定させる考え方まで解説します。
さらに、入金待ちによる資金不足を補う手段として、請求書を活用できるPayStructというツールもご紹介しますので、詳しく気になる方はぜひお問い合わせください。
建設業の融資審査が厳しい理由|業界特有の5つのリスク要因

建設業は他業種と比較して融資審査が厳しいです。
その理由は、建設業特有の事業構造にあります。
金融機関は、これから解説する5つのリスク要因を特に警戒しており、審査では慎重な姿勢を取ります。
①支払いが先行し入金が後になる「先行投資型構造」
建設業では、材料費・外注費・人件費などの支払いが工事開始直後から発生する一方、元請けからの入金は工事完了後、さらに数カ月後になることが一般的です。
例えば、1,000万円の工事を受注した場合、着工と同時に材料費300万円、外注費400万円、人件費200万円の計900万円が先行して出ていきます。
しかし、工事代金の入金は工事完了から30〜60日後となるため、その間は自己資金や借入金で賄わなければなりません。
この「先行投資型構造」により、受注が増えれば増えるほど資金不足に陥るという矛盾した状況が生まれます。
金融機関はこの構造的な資金不足リスクを懸念し、より厳格な審査を行います。
②工期の長さによる資金回転の遅さ
大型工事では工期が数カ月から数年に及ぶこともあり、資金の回転が遅くなります。
小規模な内装工事であれば1〜2週間で完成し入金サイクルも早いですが、ビルや橋梁などの大型案件では、着工から完成まで1年以上かかることも珍しくありません。
この間、継続的に運転資金を確保し続ける必要があるでしょう。
資金回転が遅いということは、同じ売上規模でも必要な運転資金が増加することを意味します。
金融機関は、長期間にわたる資金負担能力があるかどうかを慎重に見極めています。
③手形決済による資金化の遅れ(2026年廃止予定)
建設業界では約束手形による決済が多く用いられてきましたが、手形が現金化されるまでに60〜120日かかることもあります。
工事が完了し検収を受けても、支払いが120日後の約束手形では、実際に現金が手元に入るまで4カ月も待たなければなりません。
その間の材料費や人件費は別の資金で賄う必要があり、資金繰りを圧迫します。
さらに、政府や金融界は2026年を目処に紙の約束手形を廃止し、電子記録債権への移行を推進しています。
④多段階取引(重層下請構造)による資金リスクの増大
元請→一次下請→二次下請→三次下請…という重層構造により、支払条件が段階ごとに悪化しやすく、末端の事業者ほど資金繰りが厳しくなります。
例えば、元請への入金が工事完了後30日でも、一次下請への支払いは45日後、二次下請には60日後というように、下請階層が下がるごとに支払サイトが延びていくのが実態です。
加えて、上位企業が倒産した場合、連鎖的に下請企業も資金回収できなくなるリスクを抱えることになります。
金融機関は、取引先の信用力や契約構造を細かく確認し、連鎖倒産リスクを評価しています。
⑤黒字でも倒産する「資金繰り倒産」のリスク
損益計算書上では黒字でも、入金と支払いのタイミングのズレにより手元資金が枯渇し、倒産に至る「黒字倒産」が建設業では頻繁に発生します。
決算書では年間5,000万円の売上高に対して500万円の利益が出ているにもかかわらず、工事代金の入金前に大型工事の材料費支払いが重なり、手元現金が底をついて倒産するケースは決して珍しくありません。
金融機関はこのリスクを特に警戒しており、損益計算書だけでなく、資金繰り表やキャッシュフロー計算書を重視して審査を行います。
「帳簿上の利益」ではなく「実際の現金の動き」を見ています。
建設業で利用できる融資制度の全体像
建設業が利用できる融資制度は多岐にわたります。
それぞれの特徴を理解し、事業ステージや資金用途に応じて使い分けることが重要です。
主な融資制度の種類と特徴
建設業で活用できる融資制度は、大きく分けて5つのカテゴリーに分類されます。
1.民間金融機関の融資(銀行・信用金庫・信用組合)
地域の銀行や信用金庫が提供する融資で、以下の2種類があります。
・プロパー融資(銀行独自の融資)
金融機関が独自に審査・実行する融資です。
信用保証協会を通さないため、審査は厳しくなりますが、融資限度額が高く、金利も比較的低い傾向にあります。
ただし、実績のある企業でなければ利用が難しいでしょう。
・信用保証協会付き融資
信用保証協会が保証人となることで、金融機関のリスクを軽減し、融資を受けやすくする制度です。
創業期や実績の少ない企業でも利用しやすく、建設業の多くの事業者が活用しています。
2.日本政策金融公庫の融資
政府系金融機関である日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完する役割を担っており、建設業にとって重要な資金調達先となります。
・新規開業資金(旧:新創業融資制度)
新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資制度です。
融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)です。
一定の要件を満たす場合は原則として無担保・無保証で利用できる特例措置も適用されます。
初期投資がかさむ建設業での独立を目指す方に適しています。
※2024年4月の制度改正により、新創業融資制度は新規開業資金に統合されました。
・一般貸付
融資限度額は最大4,800万円(特定設備資金は7,200万円)です。
返済期間も運転資金で7年以内、設備資金で10年以内と長期に設定できるため、計画的な返済が可能になります。
・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者が、無担保・無保証で最大2,000万円まで借りられる制度です。
金利も低く設定されており、小規模な建設業者にとって有力な選択肢となるでしょう。
3.信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に保証人となり、融資を受けやすくする公的機関です。
・一般保証
通常の事業資金として最大2億8,000万円(無担保の場合は8,000万円)まで保証を受けられます。
・セーフティネット保証
業況が悪化している業種や地域の事業者を支援する制度で、一般保証とは別枠で保証を受けられます。
経営環境の変化により資金繰りが厳しくなった建設業者にとって、重要なセーフティネットとなります。
4.ファクタリング(売掛債権の買い取り)
工事代金などの売掛債権を専門業者に売却し、早期に資金化する方法です。
融資ではないため負債が増えず、決算書に影響を与えません。
審査も融資より緩やかで、最短即日で資金調達できる場合もあります。
ただし、手数料が発生するため、コストと資金化スピードのバランスを考慮する必要があるでしょう。
5.手形割引(約束手形の早期現金化)
受け取った約束手形を金融機関や専門業者に買い取ってもらい、支払期日前に現金化する方法です。
2026年度末に約束手形が廃止されるまでの過渡的な手段となりますが、現時点では建設業界で広く利用されています。
割引料(手数料)が差し引かれますが、資金繰り改善には有効な手段です。
まとめ|建設業の資金繰りは「早めの対策」が安定経営につながる

建設業の融資は、業界特有の資金構造を理解し、運転資金と設備資金を正しく使い分けることが重要です。
一方で、入金サイトの長さが原因で、一時的に資金が不足するケースも少なくありません。
そのような場合は、融資だけに頼らず、請求書を活用して資金化できる手段を知っておくことが安心です。
資金繰りに不安を感じたら、建設業にも対応している**PayStruct**へ相談してみましょう。
早めに選択肢を持つことで、無理のない資金繰りと安定した経営につながります。